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番外編 健夜と京太郎 健夜「これは似合うかな?」服の試着をしていて 京太郎「さっきの方が俺は好きかな。そっちはなんか幼く見えるし」 健夜「そうかな…私的にはこっちも好きなんだけど」 京太郎「義姉さんの好きな方で…」 健夜「また京君言っちゃったね」 京太郎「あっ……健夜の好きな方でいいと思う」 健夜「せっかくのデートなんだから呼び捨てでって言ってるのに…」 京太郎「慣れてないから仕方ないだろ」 健夜「いい加減に慣れてくれないと困るよ。もう恋人なんだから」 京太郎「あう…ごめん」 健夜「それにお腹の子も困ると思うよ?」お腹をさすりながら 京太郎「そうだな…健夜ももうすぐお母さんだもんな」 健夜「うん。京太郎と私の大事な子供…本当にありがとう」 京太郎「何が?」 健夜「選んでくれて…一番最初に京君の子供が産めるから」 京太郎「…俺の方こそありがとう。こんな俺の子供を産んでくれようとして」 健夜「好きな人の子供を産む…女の幸せだよ」ニコニコ 京太郎「男だって産んで欲しい女が孕んでくれる。これほど嬉しい事はない」 健夜「当分の間、私とはできないけどね」 京太郎「そ、そんな目でみないでくれよ…」 健夜「あんまり変態なプレイはだめだよ京君」 京太郎「き、肝にめいじときます」 健夜「それに…」 京太郎「それに?」 健夜「私が京君の初めてをもらったんだからね」 カン!
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京太郎「ただいまー」ガチャ 京太郎「あれ?誰もいないのか。晩飯食ってくればよかったなー」 京太郎「作る気力もないし、出前でも取るしかなさそうだな。たしかリビングにメニューがあったはず」 はやり(ヘソ出し)「Zzz…」 京太郎「あれ、姉さんいたのか。家だからってこんなだらしない格好で寝て、こんなんだからいまだに彼氏の一人も」 はやり「あれ、京ちゃん帰ってきてたんだ。ところで彼氏がなんだってー?」ニッコリ 京太郎「イ、イエナンデモナイデス」アセカキー はやり「ふん。いざとなったら京ちゃんにもらわれるからいいもーん」ダキッ 京太郎「うわ、色々当たってるって!つーか酒臭っ!?」 はやり「当ててるんだよー?うりうりー」フニフニ 京太郎「うわわ、はーなーれーろー!」グイィ はやり「そんな事言ってホントは嬉しいくせにー」 京太郎「マジでいい加減に、うわっ!?」 ドサッ 京太郎「うあ」 はやり「あはー、京ちゃんに押し倒されたー」 京太郎「ごめん!すぐどくからわぷ」 はやり「離れちゃ嫌だよー」ギュウウ 京太郎(息、息が!おもちで口と鼻が塞がれて!)ジタバタ はやり「ふぁ、まだ眠いや。おやすみ京ちゃん……」 京太郎「って、寝ちゃったよ…」 京太郎「風邪とかひかれても嫌だし、部屋まで運ぶか……」 京太郎「よっと!やっぱり軽いなあ」オヒメサマダッコ はやり「んぅ・」ムニャ 京太郎「まったく、顔は可愛いんだし彼氏なんてすぐ出来るだろうに」 京太郎「でも姉さんが彼氏を連れてくるとこ、想像できないな…」 はやり「あは、京ちゃん、だいすきだよぉ…」 京太郎「うん、俺も好きだよ。姉さん」 はやり「えへへ」 ――――おしまい。
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IF 原作に行った京太郎4 京太郎(ああ…どうしようも無い屑だな。両親が居て、真っ黒い事が何も無くて、なに不自由なく暮らしてきた俺に成り代わって…それでそれを久にあたる。どうしようも無い屑だ) テクテク… バタ… 京太郎「ああ…すいま……あっ、桃子か」 桃子「えっ…なんで私の名前を…それよりもなんで私が見えてるっすか!」 京太郎(…そうか皆、違う人間なんだよな) 京太郎「いや、あの…知り合いによく似てたんですよ」 桃子「……ちょっと来るっす」 ーーーー 京太郎(あの時の公園…) 桃子「とりあえず自己紹介をするっす。私は鶴賀学園一年、東横桃子っす」 京太郎「清澄高校一年、須賀京太郎です」 桃子「須賀さんに聞きたい事があるっす」 京太郎「なんですか?」 桃子「さっき言ってた知り合いについて聞かして欲しいっす」 京太郎「構いませんが、なぜですか?」 桃子「女の勘が言ってるんっすよ。聞くべきだって」 桃子(何より私の事が見える人なんてそうそう居ないっすからね) 京太郎「…彼女はとても真っ直ぐな人でした。他人に認識されにくい体質だったらしくて、苦労してた人でした」 桃子(…なんで須賀君はこんなさびしそうなんっすか。まるでもう会えない人の事を話してるみたいじゃないすか) 京太郎「でも彼女は笑顔の可愛い人でした。カラオケに行った事がないのか機械と睨めっこしてたり、街を歩いてると後ろから目隠ししてきたり…他にも色んな事があったんですよ」ワハハ ツー… 桃子(…なんで、なんで笑いながら泣いてるっすか。なんでそんなに辛い事なのに、私に話してくれるんっすか!) 桃子「その人の事がすきだったんすか?」 京太郎「どうなんだろう…昔、告白されて色んな理由から振った俺が彼女にそんな感情を抱いて良いのかわからないけど」 京太郎「失って気が付く事もあると今は思ってる」 桃子「…ごめんなさい」 京太郎「東横さんが謝る事じゃないよ。ただ…俺が子どもだったて話だから。それじゃあ俺は行きますね」 スッ… 桃子「須賀さん!また会ったら何処かに行くっす!」 京太郎「えっ…?」 桃子「その時にわたしの事も話するっす」 京太郎「……楽しみにしてます」 桃子「はいっす!!」
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414 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 20 26 39.08 ID Ca8CHG5So [4/33] 【8月21日:昼】準決勝当日 試合終了。 その後、俺はセーラさんと船久保先輩に言われ、泉と共に病院へと向かっていた。 怜さんは、ひどくはないそうだ。 体力を大きく消耗し、ひどい貧血を起こしていた。 一日検査入院すれば、問題なく帰れるそうだ。 そう思ってはいても、そう感じない人もいる。 ……部長とかだ。 竜華「嫌や!離してぇな!!」 京太郎「そういう訳にはいきませんよ…!」 泉「部長、私らで見ておきますから!」 竜華「う、うぅ……怜ぃ…!」 落ち着きがない。 そんな部長。 この人は、何所までも怜さんを重視している。 こうして錯乱するくらいに。 だから、そんな部長を落ち着かせる方法は一つだ。 ……利用するみたいで、気分が悪いけれど。 これしかないなら、利用するしかない。 京太郎「怜さんだって、部長を信じているんですから」 竜華「怜が……」 京太郎「きっと、大丈夫なのにそんな風に騒いでる部長を見たら、「りゅーかうるさい」とかって言いそうですよ……今寝てるみたいですし」 竜華「うっ……」 さぁさぁ、と。 俺は竜華さんの背中を押す。 名残惜しげに。 ちらりと、怜さんを見て。 部長は目元を引き締める。 これで大丈夫だ。 去っていく部長。 俺はその背中に小さく、頭を下げた。 465 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 21 47 30.01 ID Ca8CHG5So [12/33] 京太郎「さて、と……」 泉「ぁぅ…」 ちらりと。 俺は視線を泉に向ける。 ……なんでそんなにびくっと反応するんだろうか? そうは思ったが、すぐに考えを改める。 そうだ。 試合前の約束。 罰ゲーム、だったか……。 俺がそれを思い返して、再度泉を見る。 手を後ろにやってモジモジと、視線を逸らしてはこちらをちらちらと見ていた。 そんなに嫌なのか?罰ゲーム。 そう思いつつ、俺が腕を組む。 いや、別に罰ゲームなんかしなくてもいいんだ。 あれはあくまでも泉に発破をかける。 そのつもりの言葉。 こいつのことだ、きっと少しは勢いを持ってくれる。 そう思ったからこそ、俺は提案した。 だからいいか。 俺はそう結論を出して、泉へと向き直る。 京太郎「よし、泉」 泉「ひゃ、ひゃぃ……」 京太郎「何か飲むか?奢るぜ」 泉「……へ?」 ぎゅっと、目を閉じた泉がまた瞼を開く。 その顔は一言で言えば、呆然。 まるで何かが想定外。 そう言うかのような顔をしている。 呆然と、泉が口を開いた。 泉「あれ……京太郎、ウチを責めんの…?」 京太郎「ばっか、負けたからってお前を責めれるか。俺が試合に出たわけじゃねーのに」 泉「でも、約束したやん!」 そう、声を上げる泉。 ……こいつ、自分で罰ゲームしたいのか? お兄さんなんか心配ですよ? うーん。 俺は考える。 罰ゲーム。 そう言われても咄嗟には出ないもんだ。 俺の経験上の罰といえば、母親の尻叩きを思い出す。 あれは痛いと同時に屈辱的だ。 しかし、泉は女の子。 男の俺がやる訳にもいかないだろう。 そこで、泉の顔を見て俺は思いつく。 小難しそうな。 なんとも表現しにくい表情をしている。 よしっ、と俺。 びくん、と泉。 なんか変な反応だなぁ、と思いつつ。 俺はにやりと、笑みを浮かべた。 京太郎「よーし泉、目を瞑れ」 泉「は、はい……」 目を閉じ、待ちわびるような顔をする泉。 にこりと俺。 ワキワキと、手を動かした。 京太郎「小難しい顔してねーでこれでも喰らえっ!」 泉「ひっ―――ひゃ、ぁぁあああああああ!?」 くすぐり攻撃。 それを開始した瞬間、泉が体をくねらせる。 逃げるというよりは、その突然のことに体を耐えさせるように。 くねりと、泉が震えていた。 ………反応おかしくね? 泉「ひっ……ひん……ッぁ」 京太郎「あ、あのー……泉さーん…?」 くたっと。 俺の胸に顔を埋めてしな垂れる泉。 力が抜けてるなこれ……そうか、泉はくすぐりが嫌いだったのか。 こりゃ一つ勉強になったな。 501 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 22 10 50.65 ID Ca8CHG5So [17/33] . ′ | i ¨¨¨¨¨ ¨¨¨¨¨ / | い i.| .| , ゚. . . . . . . . . . . . . .゚ , | .. ..| |i イラッ |ハ | ′ . . . . . . . ' . . . . . . . ′ノ | || || | .\__j j_/ .. | || 「………」 || l .∧ / , l| リ 乂 个 .. ´  ̄ ` .. 个 ゚ リ \} .ト、 >... イ ./ \ い乂 .. .| > __ <│ j ./} /} /j/ `ー―ヘ ヽ}ィニ| |ニヽ ノ}ノ/_,イノ ィ __ -=ニニニニニノ ∨ニニ=- __ 506 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 22 12 12.98 ID Ca8CHG5So [18/33] 【8月21日:夜】準決勝当日 負けた。 千里山が。 負けた。 その結果を病室で見た時。 俺はどんな反応をしただろうか。 自然と手を握り込んでいただろうか。 それとも、静かに目を閉じていただろうか。 ただ。 一言。 残念そうな怜さんの呟き。 それだけが、耳に残っていた。 怜「そか……」 そんな、困ったような笑み。 それを忘れれず。 俺は泉と、夜の帰り道を歩いていた。 泉は、何も言わない。 いや、言えないのか。 怜さんを除けば、削られたのは泉が大きい。 それを気にしてるのだろうか。 気づけば、俺は泉の手を引いている。 そうでもしなきゃ、歩きそうにないから。 公園。 そこを抜けていき、視線を向ける。 視線の先にはホテル。 ようやく戻ってこれたと一息。 ただ、泉は。 足を止めて、ホテルを見る。 そこにあるのは、恐れだろうか。 やってしまった。 そう自分を責める顔。 それを見てしまうと、俺は何も言えない。 俺は泉へと振り返ると、ため息を吐いて声をかけた。 京太郎「ちょっと、何か飲むか?」 551 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 22 39 09.20 ID Ca8CHG5So [23/33] 京太郎「ほれ、レモンティーでいいか?」 泉「あ、うん……」 俺はキンキンに冷えたレモンティーの缶を泉に差出し、自分はコーヒーのプルタブを開く。 よく冷えてる。 それに少し甘めで、飲み口がいい。 カフェオレみたいだなと思いつつ、俺はベンチに腰掛ける泉の隣に座り込んだ。 会話は無い。 俺がコーヒーを啜る音。 それだけが響く。 そのまま、俺が一本飲み終えた頃。 少し考えるように「あー」と、声を発し。 ポンッと。 泉の頭に手をやった。 京太郎「お疲れ、泉」 泉「………京太郎…」 京太郎「お前は全力だったし、皆も全力だった……その結果に後悔してるようじゃ、きっと皆怒ると思うぜ」 知らんけど。 そう思っていると、肩に重みを感じる。 気づけば、缶一個分空いていた俺と泉の隙間は埋められ、泉は俺の肩に頭を寄せている。 ……なんというか、びっくり。 それが正しい感想か。 妙にしおらしい泉は俺の言葉に小さく、こくりと頷いて聞いている。 ……こういう顔は、苦手だ。 俺は少し迷い、覚悟を決めて泉の肩を抱き寄せる。 まぁ、今くらいは。 ……今くらいは、いいだろう。 568 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 22 43 39.09 ID Ca8CHG5So [25/33] 【8月22日:朝】 怜さんが今日、退院する。 まぁほぼ半日みたいなものなんだけど。 そう思いつつ、俺はセーラさん、清水谷部長と共に病院へと向かっていた。 一応、船久保先輩や泉も誘ったは誘った。 だけど船久保先輩は個人に出るセーラさん、竜華さんのためのデータを纏めていて手が空いていない。 泉は泉で、なんかベッドでコロコロと転がってたから無視してきた。 まぁ、あまり大勢で押しかけるのもな、と思う……病院だし、気を使うべきだ。 そうこうしている内に移動完了。 受付にいけば、その待合所にはすでに怜さんが眠たげに座っているのが目に入った。 竜華「怜!」 セーラ「よっ!元気そうで安心したで」 怜「竜華にセーラ、おはよーさん」 か、軽い。 俺は思わず引きつってしまう頬を笑みに変えて、怜さんに向き直る。 怜さんは俺を見て、少し目をぱちくり。 だが次の瞬間には、目をそっと逸らしていた。 京太郎「え、あの……怜さん?」 怜「……なんや、人が寝とるベッドの横で泉と乳繰り合っとった京太郎?」 竜華「え」 セーラ「へ?」 部長とセーラさん。 二人の視線が俺に向く…が、待ってほしい。 それは冤罪であると俺は声大きく言いたい! だがしかし、そんなものに効果はない。 昨日、帰ってきたときの姿を見られてる。 そこから結びつけて、何か拙い勘違いをされるのだけが心配なのだ。 だがしかし、思ったような反応はない。 見れば、部長は一人納得していて、怜さんはこちらをジト目で見据えてる。 セーラさんは……。 京太郎「……あの、怒ってます?」 セーラ「怒っとらんよ」 いや、見ても……。 セーラ「怒っとらん」 さいですか。 613 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 23 09 26.60 ID Ca8CHG5So [28/33] 【8月22日:昼】 怜「……」 京太郎「……」 何でこの人は怒ってるんだろう。 そう思うほど、愚かではない。 昨日の泉とのやり取り。 それが怜さんには不満なのだ。 それくらいは、分かる。 罰ゲームか。 それとも別の何かか。 考えれば考えるほど、これ、という答えが出てこない。 しかし、分かったことはある。 こうして今、怜さんと一緒に居る。 そうしていると、妙に機嫌よくなっているという事実だ。 小さく、ため息。 俺は少しの疲れをそれに乗せて吐き出す。 閉じていた瞼を開く。 開けば、見えたのは瞳。 目と鼻の先。 お互いの息が吹きかかる距離に、怜さんの顔があった。 フリーズ。 それと同時に俺は現状を理解する。 顔を下げようとした瞬間。 優しく。 振りほどこうとすれば解けるほど優しく。 怜さんの手が俺の顔を挟む。 それに固まって、俺は息を飲み込む。 いや、なんだこれ。 どういう状況なんだ。 怜さんはそのまま固まって、俺を見つめ続けている。 目を逸らそうにも逸らせない。 そんな雰囲気があった。 怜「……」 ちろり、と。 怜さんの赤い、小さな舌が唇を舐める。 ……妙な危機感を感じるぞ、何故か。 649 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 23 41 10.62 ID Ca8CHG5So [31/33] 怜「なぁ京太郎」 京太郎「な、なんでごぜーましょう?」 怜「京太郎は、ウチを助けてくれるんよね?」 不意に。 そう尋ねられて。 俺はその言葉の意味を考える。 助ける。 それには色んな意味がある。 困っていそうだから助ける。 仲間だから助ける。 ただ助けたいと思うから助ける。 好きだから助ける。 そんな、色々な意味がある。 この人の助ける。 その言葉は、何か不透明だ。 それを理解できるだけの空気。 そう呼べるものがある。 くすりっ。 普段の弱々しい様子からは考えれないほど、妖しい笑み。 いや、だからこそそう感じるのかも知れない。 そんな笑みを浮かべた怜さんが、すっぽりと俺の胸元に納まる。 ここまでされれば、流石に俺だって分かる。 助けてくれる? それが持つ、意味が。 えっと、どう答えるべきなんだろうか。 それに困る。 困っていると。 小さく、怜さんが笑った。 笑って、また体を寄せるだけだった。 654 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/12(火) 23 49 02.98 ID Ca8CHG5So [32/33] 【8月22日:夜】 怜さんを部屋に送り届ける。 俺の部屋で結構話しこんでいた。 そんな気がする。 そう思いつつ、俺は脚をレクリエーションルームに向けていた。 何をする、という訳でもない。 ただ、寝る前に部屋の消灯やらなんやらを確認しておこうと思っただけ。 まぁ、もう夜。 それも寝る時間にほどなく近い時間帯だ。 人が居るとは思えない。 そんな気持ちがあったのは事実だ。 しかし、音が聞こえた。 入って、見る。 そこには、カップを片手に試合映像を見ている船久保先輩の姿があった。 京太郎「せ、先輩?」 浩子「ああ、なんや須賀か」 園城寺先輩の相手?お疲れさん。 そう言って視線をまたテレビに戻す。 試合映像。 昨日の、千里山の試合か。 船久保先輩はそれを舐めるように見回し、そして小さく息を吐いていた。 そこにあるのは疲れ。 そして少しの諦め、であろうか。 浩子「……やっぱ、強いわ」 京太郎「そう、ですか……」 浩子「粒ぞろいやからな、白糸台は……こら来年も苦労するわ」 はぁ、と船久保先輩。 来年。 そうか、もうそれを考える必要があるのか。 俺は先輩の背中を見る。 3年生の意思。 それを継ぐのが、後輩の役目だと思う。 それならば、船久保先輩はそれに最も適している。 そう、俺は不意に思っていた。 685 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/13(水) 00 25 43.69 ID wexfKoodo [5/33] 【8月23日:朝】 怜さんの言葉。 助けれくれる? その問いかけ。 それに答えるのならば、Yes。 そう答えよう。 それが、そのままの意味ならば。 それ以外の意味。 そうとなると、何も言えない。 俺だって馬鹿じゃない。 あんな態度をとられれば、意識だってする。 怜さん。 弱々しいけれども一生懸命生きている。 まるで日光が差す量が少ない花のような人だ。 必死に。 生きようとする花。 それが怜さんだ。 そんなことを考えていると、不意に気配を感じた。 レクリエーションルーム。 そこには今、俺だけしかいない。 視線を向ける。 そこにいるのは、怜さん。 そして部長の何時ものコンビ。 怜さんがにこりと、俺に笑みを返す。 それに妙な気恥ずかしさを俺は感じる。 くそう、なんでか知らないけど、妙に意識してしまう。 そう思っていると、また視線を感じた。 こっそりと見れば、部長が俺を見ている。 妙にうさんくさいものを見る目で、だ。 竜華「……怪しい!」 怜「どないしたん、竜華」 竜華「二人とも、何か隠しとるやろ」 怜「なんも隠しとらへんよ、なぁ京太郎」 京太郎「え、ええ……何も、ええっ」 そこで振りますか、俺に。 そう思い、視線を怜さんに向ける。 またちろりと、舌を出しておどけられてしまった。 ……この人、あれすれば場を流せるとか思ってないか? 749 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/13(水) 00 48 20.28 ID wexfKoodo [10/33] 【8月23日:昼】 セーラ「なんや京太郎、えろう景気悪い顔しとるやん」 竜華「せやせや、朝からどないしてん?」 京太郎「あー……そんな顔してます?」 セーラ「一人頭抱えとったら嫌でも分かるわ」 時間が過ぎる。 空白の時間だ。 俺は疲れたような、そんな表情を浮かべていた。 朝も、昨日も。 怜さんの言葉がずっと残るのだ。 それをセーラさんにも部長にも、質問はそう出来る気はしない。 ただ、例え話だ。 これは、例え話。 京太郎「あの……すっごく異性に頼られるって、どうなんでしょう…」 セーラ「ん?」 京太郎「これは、例え話なんですけど……普段から仲良くて……例えば部長と怜さんくらいですよ?」 セーラ「そりゃ仲ええなー」 竜華「で、それがどないしてん?」 京太郎「部長と怜さんは、同性同士ですからそこまで。……そんな二人よりも片方が異性へと縋っている、ってのはどうなんでしょう」 そんな状態。 それを思い浮かべたのか、セーラさんが沈黙。 つまりは、あれだ。 溺愛されている、ということだ。 怜さんのそれは、そう思えるものだから。 竜華さんは自分のことだから理解は薄いかも知れない。 だけど、セーラさんはそういうのに慣れてないらしい。 顔を少し赤くして、そっぽを向いている。 それに小さく苦笑。 いきなりすぎた。 俺はすみませんと、頭を下げる。 京太郎「いや、変なこと言いました!忘れてください!」 竜華「ええん?」 セーラ「そ、そか…ならええんや」 竜華「……なしてセーラそない顔赤いん?」 セーラ「う、うっさい!」 967 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/13(水) 20 06 55.23 ID wexfKoodo [29/33] 【8月23日:夜】 京太郎「昼間は変なこと聞いちゃったな……」 風呂を上がり、未だにしっとりとする髪の毛をそのままに俺はレクリエーションルームへと向かっていた。 首にかけた半タオル。 それが少し垂れる水気を吸収していく。 こりゃしっかり拭いてから寝ないと寝癖に残る。 そんな短い思考が思い浮かんではすぐに消えた。 面倒だ。 朝になってシャワーでも浴びればそんな寝癖はすぐに取れる。 それに、寝汗も落ちるし一石二鳥じゃないか。 そんなことを思いつつ、俺はレクリエーションルームに。 入った時に気づいたが、ドライヤーの音が聞こえる。 序でに鼻歌も。 しかもこっちの音は聞こえていないらしく、止まる気配は無かった。 セーラ「ふんふんふふーん~♪」 京太郎「………セーラ、さん……?」 セーラ「どわあああああああああ!?」 ぽーんっ。 そんな感じで勢いよくドライヤーと櫛を上に放り投げるセーラさん。 だが待ってほしい。 ドライヤーは基本、コード式だ。 つまり投げたとしても限界がある。 ドライヤーは放り投げた持ち主へと帰るように落下。 俺が声を出して警告する前に、それはセーラさんへと襲い掛かる。 しかも、セーラさんは思い切り立ち上がっているのも原因だろう。 落下、直撃。 「ふぐっ!?」と。 妙に詰まった声がセーラさんから引き出されていた。 セーラ「う、うぅ……頭が割れてまいそうや……」 京太郎「す、すいません……手をどうぞ」 ぺたん、と地面に座り込んで頭を摩るセーラさん。 手を差し出すと、俺に手を伸ばして。 ぴくりと、止まった。 ………顔、赤くね? 19 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/13(水) 20 53 57.17 ID wexfKoodo [2/30] セーラ「み、見とった……?」 京太郎「えーと……はい」 セーラ「ぁああああ……」 がっくり。 そんな感じでうなだれるセーラさん。 それに焦る俺。 なんというか、あれだ。 京太郎「なんか、すいません……」 セーラ「あ、ああ、ええんよ、別に」 見られて困ることじゃない。 セーラさんがそう笑い、俺の手を握る。 ぐっと、引き上げる。 軽い。 それにやっぱりセーラさんも女の子なんだな、と思う。 ドライヤーとか、あの手鏡に櫛も。 気づけば、俺は小さく笑いながら声に出していた。 京太郎「セーラさんもやっぱり女の子ですね」 セーラ「あ、アホ!!」 怒られてしまった。 しょぼん。 32 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/13(水) 21 02 59.28 ID wexfKoodo [4/30] 【8月24日:朝】 ――――千里山高校三年、園城寺怜。 今こそ名門・千里山の新エースとして知られる彼女。 だが、それは幸福に満ちた人生ではなかったと言っていい。 生来の虚弱体質。 それ故に集中力欠如によるミスの誘発。 もし、健康な体だったら。 もし、普通に生きれれば。 そう思い、願わずばならなかったことは多々あった。 だが、それは。 ……それならば、自分はあの全国のステージに立てたのだろうか? その疑問があった。 一度死に瀕したことで手に入れた一巡先。 限界に挑戦して手にした二巡先。 皆がくれた三巡先。 それが無ければ、自分は泉にも及ばない。 それを理解している。 皮肉だ。 体が弱くなければ皆のために戦えず。 体が強ければ皆に並べない。 神様は二つを与えない。 それが良く分かるじゃないか。 思わず、笑ってしまいそうだった。 ああ。 届かない。 二者択一。 どっちかだけ。 「なら、ウチはどっちを選べばええの?」 そう問いかけても答えは出ない。 答えてはくれない。 そう……もし、それの答えとするのなら。 それは、ただ一つだ。 どちらの園城寺怜も必要としてくれる、確固とした存在。 それが園城寺怜に必要なのだ。 382 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/15(金) 22 13 44.91 ID oHVVCIIRo [4/14] 竜華「―――怜、どないしたん?」 京太郎「怜さん?」 怜「あっ―――」 意識が、遠のいていた。 思わず手の平を見つめ、安堵のため息を漏らす。 よかった。 まだ、自分はここにいる。 ここに居て、皆を理解できている。 そんな安心。 それを実感する。 ぎゅっと。 手を握る。 そして前を見た。 二人がこちらへと振り向いている。 清水谷竜華。 昔からの友達。 今までとても助けて貰った。 それに見返りなんてない、ある意味ではアガペー(無償の愛、隣人愛)に近しいものがある。 尽くして貰った。 ああ、それを疑うことはない。 今も心配そうにこちらを見つめているのが、それを肯定している。 それと同じように、こちらを見る京太郎。 その視線にあるのは同じく気遣いと優しさ。 出会って数ヶ月という短い期間。 でも、その献身を理解できるほどに尽くしてくれた。 思えば、あの春の出会いから。 京太郎は、優しい人だった。 ―――どくんどくんどくん。 聞こえてくる心臓の鼓動。 生きようと鼓動する音。 それが京太郎を思うと、早鐘を打った。 ―――どくんどくんどくん。 暖かい。 ほわほわとする。 この気持ちは、初めてだった。 竜華でも、セーラでも、船Qでも、泉でも。 誰からも感じなかった暖かさ。 389 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/15(金) 22 25 38.66 ID oHVVCIIRo [5/14] 【話を戻そう】 【世の中は二者択一】 【両方を、という贅沢なんて通じないことが普通だ】 【園城寺怜】 【その少女は、笑う】 【選ばなければならない】 【その事実に笑う】 【即座に片方を切り捨てれる、自分に笑った】 【なんだ、悩むことなんて無いじゃないか】 【切れない絆を作れる方を選べば良い】 【簡単なことだ】 【怜は笑う】 【笑って、笑って、口を開いた】 【「――――ウチ、京太郎の赤ちゃん欲しいな…」】 [END:二者択一]
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哩「京太郎、そこに正座たい!」 京太郎「えっ、あっ、はい」 姫子「今日は雑用せんでよかと言ったはずちゃ」 京太郎「嫌でも、俺がしないと…」 哩「そげんなこと誰も聞いとらん!だいたい京太郎は…」 煌「あれは何があったんですか?」 美子「京太郎がまた買い出しとかをすませたみたい」 煌「ああ、それでですか」 仁美「なんもかんも京太郎が悪い」 美子「そげんな事もないと…」 仁美「あると。駄目ちゃ言われとる事をやるのは悪い」 美子「そうやけど…」 哩「聞いとるんか京太郎」 京太郎「き、聞いてますよ!」 姫子「部長、やっぱり一回縛っとかんとあかんとですよ」 哩「そやね…」 京太郎「ちょ、そ、それだけ勘弁してください!!」 仁美「……なんもかんもリア充が悪い」 カン!
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番外編 戒能良子を膝枕 良子「硬いですね」 京太郎「当たり前だろ。男の膝枕なんだから7」 良子「でも…悪くないです」ニコニコ 京太郎「急にどうしたんだ?慌てて帰ってきたと思ったら膝枕しろとか」 良子「…少しホラーな夢をみたんです」 京太郎「ホラー?」 良子「はい…京太郎が私の弟じゃなくて……」震えて 京太郎「…それは嫌な夢だな。でも俺はずっと義姉さんの弟だからな」 良子「そうですね…京太郎は私の大事な家族です」 良子「私は幸せ者です」 カン! 848 名前: ◆qV6dwdDny6[saga sage] 投稿日:2014/03/13(木) 12 02 31.47 ID e52DtbqcO [1/5] リクエスト 智葉「今日は良い手羽が手に入ったからな」鍋を見ていて ネリー「流石、さとはだよー」 明華「楽しみですね」 メガン「最後はラーメンです!」 京太郎「いやいや、おじやですよ」 メガン「…おぅ、京太郎は鬼デス」 慧宇「餃子焼けましたよ?」 スタスタ… 智葉「今更だが何故餃子だ?」 ネリー「テレビでやってたから」.ニコニコ 明華「ああ、あの刑事の」 メガン「それなら私も見まシタ、バリ5.羽5.ニンニク増しデスネ」 京太郎「なんですかそのおぞましい注文は」 メガン「たかまるらしいデスヨ」ボソ… 京太郎「俺、ちょっと餃子焼いてきます」 智葉「馬鹿者」 カン!
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クリスマスネタ 華菜「キャプテン達に用事ができたから暇だし……皆で遊ぶつもりだったのに」 バタン…ぶつかり 華菜「痛っ…」 京太郎「す、すいません!あっ…」 華菜「あっ…」 京太郎「あ、あの、肩大丈夫ですか?」 華菜「こ、これくらいへっちゃら…そ、そっちは大丈夫?」カァァ 京太郎「大丈夫ですよそれじゃあ、俺はこれで」 スタスタ… 華菜「ちょっと待って!」 ガシ…腕を掴み 京太郎「な、なんですか?」 華菜「暇なのかな?」 京太郎「いやまあ、暇ですけど…」 華菜「そ、それじゃあさ私と…で、デートとか…どう?」カァァ 京太郎「俺がですか?」 華菜「う、うん…」 京太郎「お断りします」 華菜「な、なんで…」 京太郎「だってそんな関係じゃ…」 チュ…ギュウ…クチュ… 京太郎「…っ!」 華菜「ぷはぁ…これでいいよね?」 京太郎「な、なんでもこんな事を…」 華菜「一目惚れって言ったらどうする?あの時…あの時に華菜ちゃんは惚れたんだ…須賀京太郎、貴方が大好きです」 チュ…
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咏「実はテレビ局の方からラジオに出てる付き人君を出したいって言われちゃってねぃ。オッケーしちゃったから言って切ってもらっていいー?」 京太郎「え、俺がですか?」 咏「そうだよ。でもこの前みたいな発言したらどうするか……知らんけど」 京太郎(虹彩が……) 京太郎「り、了解です……」ヒヤアセー ――――テレビ局 司会「さて、今回も始まりました、『雀トーーーク』の時間でございます!」 司会「今日のゲストはコチラ!三尋木プロの付き人、須賀京太郎さんっ!ラジオ番組のアシスタントを務めたことで話題沸騰!」 京太郎「よ、よろしくおねがいしまーす」カチコチ 司会「おやー?緊張しちゃってるんですかー?」 京太郎「テレビなんて出るの初めてですからそりゃ緊張くらいしますよ……」 司会「それもそうですね。それでは早速しゃべってもらいましょ―!」 司会「今日のテーマはコチラ!『ジョジョの奇妙な冒険』について語ってもらいましょう!」 京太郎「ジョジョですかー」 京太郎「ってこれ打ち合わせと違くありまs」 司会「はてなんのことでーしょーか?さあどーぞお好きなだけ語っちゃってください!」 京太郎「」 ―――― まこ「キンクリじゃ」 ―――― 京太郎「いったいなんだったんだ……」
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バレンタインデー二週間前……龍門渕邸 一「透華ー、食事の時間だよー。もうみんな食堂に集まってるんだけどー……透華ー?」(knock…knock… 透華「むー、こんなありきたりなものではなくて、もっとこう、私が贈るに相応しい高級感溢れるチョコはありませんの……?」(ブツブツ…パラパラ… 一「透華ー、いないのー……っているじゃないか。穴が開きそうなぐらい本睨んでなにして――――って、そっか、そういえばもーすぐバレンタインデーだったよねー」(ニヤニヤ 透華「はっ、一……!?あああなたっ、いつの間に私の部屋に入ってきたのですの!?」(ババッ…! 一「えー、僕ちゃんとノックしたよ?透華が気付かなかっただけじゃないかー」(ニヤニヤ 透華「うぐ……!」 一「あーぁ、バレンタインまでまだ二週間もあるっていうのに、そんなに必死にどんなチョコ贈るかで悩んじゃって……ヤレヤレ、須賀君は幸せ者だねー」 透華「うく、うぅぅ……」 一「まあ、そーいう悩みの相談は大歓迎だからさ。三人よれば文殊の知恵とか言うじゃない?僕たちにも、須賀君がびっくりするよーなチョコを作る手伝いさせてよ」 透華「一……あなた……」 一「恩人の恋路ぐらい応援してもいいでしょ、透華お嬢様?」 透華「…………一、あなたは……いいえ、あなたたちは私の友達!友達に恩人などと呼ばれる覚えはなくってよ?」 一「そりゃどーも。さ、ご飯だよご飯。急がないと衣が拗ねちゃう!」 透華「フフ、それは大変ですわね。急ぎますわよ、ついてらっしゃい、一!」 一「いや、透華を呼びに来た側なんだけどね、僕…………ま、いいけど」 『ハートを掴め勝利の鍵は完全手作りチョコレート・知られざる執事の苦悩』 そして、龍門渕での過酷なチョコ作りの日々が始まった…… ハギヨシ「ではお嬢様、まずはチョコを湯煎にかけて――――」 透華「湯洗……お湯の中に放り込めばよろしいのかしら?」(ドポポ 衣「鍋で煮とかした方が早いぞ、トーカ!」 透華「その手もありましたわね」 ハギヨシ「」 チョコ作りを知らない少女に一から教える…… その道のりは過酷を極めた…… ハギヨシ「で、では、次は溶かしたチョコの温度を下げてテンパリングに――――」 一「アチチ、もう少しパパっと温度冷まさないとダメなのかな?」 智紀「そんなこともあろうかと、扇風機と氷を用意しておいた……」 透華「さすがですわっ、智紀!」(バッシャー ハギヨシ「」 度重なる失敗を経て…… しかし、作業は進む…… ハギヨシ「そ、それでは次に飾り付けようのクーベルチョコの作製に入ります。まず人肌まで温めたシロップと水飴を混ぜたものに、先程テンパリングしたチョコを投入して練り合わせて――――」 衣「弾けて……混ざれぇ!」(バッシャー ハギヨシ「」 倒れても倒れても、その度に製作陣は立ち上がり…… ハギヨシ「仕上げに入ります。一日冷蔵庫で寝かせておいたものを」 透華「み、見当たりませんわよ?」 ハギヨシ「え?」 純「……ワリ、そこに入れてあったチョコ、食ったら不味かった?ちょびっと摘まむつもりが、めちゃくちゃ旨くてついさー」 透華「」 ハギヨシ「……お嬢様、さ、もう一度最初から頑張りましょう」 透華「あ、ありえませんわーーーー!?」 そんなこんなでバレンタインデーは刻一刻と近付いてきていた…… バレンタイン二日前……須賀家 京太郎「はあ、人数あわせに卓に入って打つ……それってアルバイトですか?」 ヒロ『ま、そんなとこだね。原田さんのとこの連中とこっち側、四四で打つって話になったんだけど、天さんの奥さん……二人目の方だけど、その人が急に産気づいちゃったらしくて……』 京太郎「いま、すごく変なこと聞いた気がするけどスルーして話進めると、俺が天さんの穴埋めで参加すればいいんですね」 ヒロ『うん。赤木さん、僕、京太郎君、それに岸辺さんっていう人を合わせて丁度四人。どうかな?バイト代は弾むけど……』 京太郎「……そんなの参加するに決まってるじゃないですか!」 ヒロ『はは、よかった。これで断られたら、本当に人数が足りなくなるところだったんだ。でも大丈夫?明日はバレンタインデーだけど、誰かと約束してたりしない?』 京太郎(あ、そういえば明日17時に龍門渕近くの公園に来てください、って透華さんからメール来てたな……) 京太郎「えーっと、その勝負ってどのくらいの時間やるんですか?」 ヒロ『うーん、まあさすがに明後日の夜までやることはないと思うけど……』 京太郎「そうですか…………じゃあ大丈夫です!」 ヒロ『わかった、それじゃあ明日の朝、京太郎君の家に迎えにいくから』 京太郎「はい!どこまで役に立てるかわっかんねーけど、俺なりに精一杯頑張ります!」 ヒロ『フフ、僕も赤木さんもその辺の心配はしてないよ……それじゃあ、おやすみ』 京太郎「あ、ヒロさんもおやすみなさい!」 京太郎「――――さー、明日は忙しくなりそうだぜ。俺、頑張ってくるからな、カーたん!」 カーたん「ぐー……(本当に行っても大丈夫?)」 京太郎「大丈夫、大丈夫!約束の時間までには終わる、ってヒロさんも言ってたし。さー、今日はさっさと風呂に入って寝ないとなー」 カーたん「クワー(知ーらないっと)」 ――――バレンタインデー当日 公園……15時22分 透華「フ、フッフ……私としたことが、少し早く着いてしまいましたわ。ま、まあ遅刻するよりは断然マシですし?むしろこれはレディーとして当たり前の行動という奴です!」(ドヤァ 透華「………………京太郎、早く来ないかしら」(ソワソワ 15時51分……とある料亭。 梅田「……悪いなぁ、兄ちゃん。それ当たりや。ロン!裏三枚で倍満や!」 京太郎「ぐ……!?」 大正「これでお互いの勝ち数が並んだの。サドンデス突入で決着は次の半荘に持ち越しや」 岸辺「あ、あんま気に病むなよ。片側の死んだバッタ待ちを見逃すなんて考えねえんだから……」 京太郎「………いえ、これは俺の不注意です。裏ドラを乗せる……そんな当たり前のことを失念していたから……」 岸辺「裏ドラを乗せる…………あぁっ!?ってことは、奴ら……!」(ざわ… 大正「……フフ、さてなんのことやら」 梅田「たまたまや、たまたま」 赤木「……ククッ、ケチな真似しやがる」 ヒロ「状況的に考えられたことですが……これは、痛い」 原田「……チッ、アホどもが」 赤木「どうした原田よ……これでお前の側にも勝ちの目が見えたんだぜ?」 原田「アホか。上客を楽しませるために中継しとる対局でサマなんぞやられて喜べるかっ」 ヒロ「学生だと侮った京太郎君に勝たれたら、あの人たちも今後、しのぎがやりにくくなる……だから」 赤木「――――ま、心配あんめえ。奴らだって次の半荘でサマを続けたらどうなるかぐれえ理解してるだろうし」 ヒロ「……次の半荘が正念場ですね」 原田「少し待ってろ……さっきの和了を不満に思ってる客たちを落ち着かせてくる。再開は十分後や」 京太郎(十分したら再開か。いま何時…………ヤベ、約束の時間まであと二時間ねえぞ) 京太郎「…………クソッ」(ギリッ… 大正「悪く思うなよ……こっちにも面子っちゅうもんがあるんや」 岸辺「ヘッ、学生相手にサマ使ったとこで丸潰れになってるよ」 梅田「安心せえ……次は最初から本気や。サマなんぞ使わずに、お前らまとめて叩き潰したる」 岸辺「んだと、てめえら虫のいいことばっか言いやがって……!」 京太郎(あまり時間をかけるわけにはいかないし……。ここは……あんまりやりたくないけど……) 京太郎「――――岸辺さん、言わせたいことを言わせておいてあげましょうよ。どうせ……次の半荘、勝つのは俺たちなんだから」(ニヤリ… 岸辺「お、おう……」 梅田「…………このガキ」 大正「あんまり調子に乗ってんなよ……」 京太郎「フフッ……どうしたんですか、切羽詰まった顔してますよ?」 京太郎(絶対に間に合わせてやる……!) ……公園 透華「遅いですわ……私との待ち合わせなのだから、一時間早く来るぐらいの甲斐性は見せて欲しいところですわね!」(プンスカ 透華「チョコは……うん、この気温なら溶ける心配なしですわね。――――クシュン!……フ、フフフ、京太郎の驚く顔が目に浮かびますわ!」(ニコニコ 現在の時刻……16時15分。 約束の時間まで…………あと四十五分。 京太郎「…………リーチ!」 梅田「リー棒は出さんでええぞ……その牌、ロンや!12000!!」 京太郎「ぐ、し、しまった……!」 南4局…… 親:梅田 ドラ:中 岸辺(なんでか知らねえけど、かなり焦ってんな。このままだと負ける可能性が高ぇ……。坊主の手は筒子の混一……待ちはたぶん1―4―7!勝負の内容はペアの収支……差し込みで一旦点数を平らにしてオーラスに賭ける――――!) 打:1筒 京太郎「…………!」 京太郎手牌:111234(5)6789p中中 大正「おどれ……!?」 岸辺(どうした、和了んねえのか坊主!) 京太郎「っ――――リーチ!!」 岸辺(なっ……バカヤローッ、意地張ってる場合か……!) 京太郎「確かに……もう時間も点棒の余裕もなくて、一秒でも早く、この対局を終わらせたいですけど……!」 京太郎「誰かに恵んでもらうような和了…………俺は、いらない!」 岸辺「……!」 赤木「ククッ……バカだな、京ちゃんは」 ヒロ「いやいや……」 原田「手本が悪すぎたからやろーが……」 京太郎「熱くっ、どこまでも真っ直ぐ……!それが、俺の……麻雀だっ――――!!」 梅田「……!?」 京太郎「……ツモ!!」 大正「こ、これって……」 111234(5)6789p中中中 京太郎「――――リーチ一発ツモ・中・混一・一通・ドラ3赤1……8000・16000」(ボッ…! 梅田「お、親っ被り……」 大正「ま……捲られた……」 京太郎「さあ……オーラスだ!」 ……そしてオーラス。 岸辺「ツモ……400・700。終わりだな」(ドヤァ 梅田「ぐおっ……ぐおっ……ぐお……!」 大正「じょうじじょじょじょーじじょぎぎぎぎ……!!」 京太郎「お、終わった……。そそそれじゃ俺、大事な用があるからもう行きますねっ……!?」 岸辺「あ、ああ、お疲れ……」 京太郎「岸辺さんも!赤木さん、ヒロさん、原田さん、さよなら!また今度!」 原田「あ、おい、急いでるならうちの者に送らせ……行っちまった」 ヒロ「約束の時間、聞いておいてあげればよかったですね……」 赤木「ククッ、まったくしょうがねえな……」 ヒロ「バイト代、今度持っていってあげないとなー」 ――16時55分 透華「まったく、京太郎ときたら。約束の時間の三十分前には到着するのが社会の常識という奴ですわよ!」 透華「ま、まあ、私、鬼ではありませんので時間ギリギリになっても怒るようなことはいたしませんが……。そ、それにしても遅いですわね……」 ―――17時07分 透華「私を待たせるなんて京太郎のくせに生意気ですわ!携帯にかけても留守番サービスにしか繋がりませんし……まったくもってあり得ませんわ!」 透華「うー……さ、さすがに少し寒くなってきましたわ。で、でも、まあ?もう十分ぐらいでしたら待ってあげないこともないですし、早く来いですわ京太郎!」 ――――17時39分 透華「………………まったく、遅すぎですわ。も、もしかして、事故かなにかに巻き込まれたのでは……ま、まあ、そんなはずないですわよね。もしそうだとすれば、今頃ハギヨシか一辺りが教えにきてくれてるでしょうし……。フ、フン、変な心配させるなんて許せませんわ!到着したら心の底からの謝罪を要求してあげます……!」 透華「本当に……どうして来てくださらないのですか、京太郎……。せっかく今日の日のために頑張ってチョコ、用意したのに……」 一「ねえ、ハギヨシさん、もうさ……」 ハギヨシ「帰宅を促したところで、お嬢様は聞き届けてくれないでしょう」 一「そりゃ、透華の頑固さはよく知ってるさ。でも、だからってさ……」 ハギヨシ「お嬢様が待つと決めてあそこにいる以上、私にできるのは、お嬢様と同じように必ず須賀さんは来ると信じることだけです……」 一「…………意外と融通が利かないなぁ、執事も」 ハギヨシ「はい。私、あくまで執事ですので」 一「あーもうっ、どこほっつき歩いてるのさ、須賀君は!」 ―――――17時52分 透華「きょ、今日はきっと都合が悪……かったのです、わ……。そ、そう、きっと外せない急用ができて……」(ジワ… 透華「わ、私ったら、すっかり舞い上がってて、そ……の、可能……性をまったく考えてなくて――――」(グシグシ 透華「――――――――ぅ……ふ、グス……」(ポロポロ 京太郎「い…………いた……っ、と、透華さ……ん!」 透華「――――京太郎……?」(グスン 京太郎「ゼヒッ……ゼヒッ……!ず……ず日ませんっ、こんなに遅く……なるとか――――ゼヒッ、げへっ、ガホッ……ォ、オエ……」(ドシャリ 透華「きょ、京太郎、大丈夫ですの?し、しっかりしてくださいまし……!」(オロサスオロサス 京太郎「エッホ……ウプ……と、透華さんの方こそ……ハァー……ハーッ……だ、ぃじょぶなんですか……?手……こんなに、冷たくなって……」(ギュ 透華「っ……だ……誰のせいだと思ってますの……?」 京太郎「一から……百まで、俺、のせいです……ゼー……ゼヒーッ」(ギュー 透華「そ、その通りですわっ……。あ、あんまりにも……遅い、から……私……私、もうここには来てくださらないかと―――」(ポロポロ 京太郎「わ、わっ、な、泣かないで、泣かないでください……」(オロオロ 透華「せっかくチョコを用意して待ってたのに、いつまで経っても京太郎は来ないし、だんだん寒くなってくるし、辺りも真っ暗で……気味悪かった……ですし……!」 京太郎「すみません……本当に……すみませんでした」(ダキッ 透華「ぅぅ……どうせどこかで麻雀でもしてたんでしょう……。そんなんじゃ、全然……グス……足りませんわ」(ギュー 京太郎「は、はい……」(ギューー 透華「……まだ、不十分です」(ギュギューー 京太郎「……はい」(ギュギュギュー 透華「京太郎……」(ジッ… 京太郎「ぅ…………ハ、ハイ――――」 一「んー……い、いちおー丸く収まった、のかな?」(テレ… ハギヨシ「お嬢様としてはそうなるかと」 一「でも、さすがに今回の須賀君のポカは看過できないものがあるよねー」 ハギヨシ「それについては、私も同意せざるを得ませんね」 一「あれ、ハギヨシさんにしては珍しく本音の窺える意見――――」 ハギヨシ「……ので、透華お嬢様が今度出席される立食パーティーに、須賀さんもエスコート役として参加していただくべきだと、大旦那様に具申してみようかと」 一「」 一(須賀君……君、どうやら一番本気にさせちゃいけない人を本気にさせちゃったみたいだよ……) 透華「…………京太郎」 京太郎「な……なんですか透華さん」 透華「――――私を泣かせた責任……ちゃんと取ってもらいますから。その……覚悟しておいてくださいまし!」 京太郎「ハ、ハハ……肝に命じておきます」 透華「………………そ、それはそれとしてきょ、京太郎、さ、さっきのをも、もう一度……ダ、ダメですか?」(テレテレ 京太郎「――――――――」 透華「そ、その、あ、味気なかったのでしたら、こ、ここにチョコもありますわよ……!?」 京太郎「お、落ち着いてください、なんか凄いこと口走ってますよ!?」 バレンタイン小ネタfinal 龍門渕透華編……カン!
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番外編 戒能と須賀 良子「…君がすがきょうたろうくん?」 京太郎「は、はい!僕がすがきょーたろーです!」 良子「……髪がきんぱつって事は君はふりょうなのかな?」 京太郎「これはじげだよ!」 良子「ふーん…でも私、知ってるんだよ!金髪は不良って言うんだ!」 京太郎「う…きょーたろーはふりょうじゃないもん…いい子だもん!」涙目 良子「おとこのこが簡単に泣いたらダメなんだよ!まったく…きょーたろーはこれから私のギテイになるんだからつよくないとだめだよ!」 京太郎「ギテイって何?」 良子「おとうとだっておとうさんが言ってた!」 京太郎「じ、じゃあ、ぼくはきみのおとうとなの?」 良子「そうだよ!わたしのだいじな弟になるんだ!」 京太郎「でもぼくのほうが身長おおきいよ?」 良子「か、関係ないもん!よしこはきょーたろーより年上だもん!」 京太郎「……よしこおねえちゃん?」 良子「そ、そうだよきょーたろー!」 京太郎「ならぼくがおねえちゃんをまもるね!」 良子「えっ?」 京太郎「おねえちゃんがもうだれにもいじめられないようにぼくがまもってあげる」 良子「きょーたろーのくせになやいきだよ!でもきたいしてるからね!きょーたろー!」 京太郎「うん、任せてよ良子おねえちゃん!」 ーーーーーーー 良子「……えらく懐かしい夢を見ましたね」真っ裸でベッドの上で眼をさます 京太郎「…よしこねえさん…zzz」 良子「…ふふふ…本当にプロテクトしてくれるなんておもってませんでしたよ、京太郎」 ダキ… 良子「暖かい…京太郎…わたしは幸せですよ」 カン!